いつでも、本に埋もれてみたいなとは思っている。しかし、本を読むことは得意ではないし、今まで本をちゃんと読んだ経験は実のところ本当に数えるほどしかない。とても苦手だ。でもどうしてか、本をたくさん読む人と気が合い、仲良くなることが多い。「君も僕らみたいな本の虫でしょう?」と言わんばかり。言葉や文章は好きだ。馴染みがある。ネット小説が好きで、青年期は、陳腐で低俗な文字の連なりの中から少しでも知性を感じるものを探すように、たくさん読んでいたことを今でも、本と習慣の話題について考えるときは思い出す。それが知性や教養みたいなものに結びついていたかどうかはわからない。

情緒の雑音を消すために大きな音で再生していた音楽や誰かの物語が、逆に自分の情緒のノイズになっていて、ぼーっとしてしまう。時間がいつもよりはやく過ぎ去っていってしまい、体調を崩してからそれに拍車をかけた。具体的に言うと、30分の体感が5分くらい。周りと自分の時間の感覚がずれると結構苦しい。生きていると言うことが、意味がわからなくなる。

せっかく美しく用意した私の舞台が台無しになってしまった。おそらく美しく用意しすぎて、その舞台にたつ不完全で未熟な私には、扱えるものではなかったのかもしれない。もう思考が麻痺したり揺れ動いたりぼんやりとしてしまうの感覚が薄れてしまっている。あの劇場は過去のものになってしまった。もう私だけでさえも戻れない。この類の物語に触れることがもう楽しくなくなってしまった。忘れ物は捨てよう。