夜中にブランコに乗る。このまま家に帰ってしまっては、熱りを持て余してしまいそうだという夜に、近くの公園のブランコをこいで、音楽を聴きながら声を出して歌う。夜中に大声で歌いながら全力でブランコをこぐという奇行をしているのに、誰にも注目されないから癖になっている。『十九万も持っていない、お茶の水』のフレーズでやっと顔を出すベース、無茶苦茶なのに無機質な歌詞、ブランコに乗っている時は丸ノ内サディスティックをよく歌う。21歳って、女の子なのか女性なのかわからない。私のイメージでは女性はもっと、美しく艶やかで品位のある自分の世界観を持っている、そう思っていた。大人になったらなれると思っていたけど、21歳はまだまだ子供らしく、持っている世界観はまだ、ギラギラしすぎている。しかし、女の子とも言えない少女とかもっと言えない、女の子でいたいんだけど、私を女の子といってしまっては、本物の女の子に対して失礼な気がする。しかし、私は女の子でも女性でもない、今の中途半端な状態を案外気に入ってる。きっと私みたいな人だけが、ブランコに乗ってもいいし、ウイスキーを呑んでもいい。