挫折の話

 私は自分の興味があることだけを貪欲に学び続けたし、完成度は低くとも形だけでもアウトプットすることを強く意識していた。学術団体の支部を立ち上げ、大学の教授をはじめとし、学術団体で出会った先輩方などの、お力を本当に大きく借りて、国内外での学会発表や研究活動も積極的に取り組んでいた。ただ、興味の幅を最後まで狭めることができず、薄く広くの専門性の低い自分の考えは学部生という枠組みでのみ許されるものであり、結果として応募した研究所のリサーチインターンや研修プログラムにはアプライしつつもほとんど落ちた。当たり前のことではあるが、当時の私は自分ほどの熱意があるのに何故通用しないのか理解に苦しんだ。学術世界は多種多様で自由な世界と言えども、支援や優遇の対象として「わかりやすい優秀さ」が必要だった。GPA/学歴/資産/語学力など、私は「わかりやすい優秀さ」を持っていなかったし、それを高める努力も苦手だった。ただ、今まで知的好奇心を満たしながら生活のために必要だったインターンなどの活動が功を奏し、IT業界での自分の人材としての価値をある程度評価されることが増えた。このまま、この「ユニークさ」が許され、高められ、発揮できる、そこに需要があるのであればそれは私にとても幸福なことだった。これは挫折の話、物語の裏側の話。